かつらがばれた Gさん(3)



幸い、Gさんは慎重に行動したこともあって、それ以来は平穏な日々が続いた。
だが、2年ほどして、再びGさんを悲劇が襲った。

その日は、事務所内での机などの配置変えがあった。
Gさんも、二人で机を持って中庭を通り、別棟に運ぶ、という仕事を手伝うことになった。
Gさんは机の前、つまり後ろ向きに進む役回りを引き受けた。

中庭を通過する時のことである。
Gさんは、頭に何かが当たったのを感じた。
あわてて振り向いた、その瞬間、かつらが動いてしまったのだ。
Gさんの真上には、中庭に植えられている木の枝が伸びていた。
そこにつっこんで、かつらに枝が触れたまま振り向いたのだからたまらない。

机を挟んで、同僚がこちらを見ている。
意外な展開に、口をぽかんと開けたままだ。見られた!

この後は、ご本人のご希望で省略する。
Gさんは、その人にはバレたが、それ以上、噂が広まるのをくい止めることはできた。

Gさんは、それ以来、頭に触れそうなものには十分注意するようになったのは、言うまでもない。